戦争中毒 アメリカが軍国主義を抜け出せない本当の理由
動機
最近会社の同僚とあまりうまくコミュニケーション取れないなぁ、とか益体もないことを悩んでいる。
コミュニケーションって文化じゃん?
んじゃ、そんな感じの読むか。
全然関係ないけど、アメリカのこととかよく知らないなぁ。
こんなアクロバティックな経路で読み始めた。
概要
アメリカが軍国主義の国であること。
その経緯と何故軍国主義が続いているのか?
そして軍国主義の弊害が起きている、といったことが書かれている。
筆者の主張は一貫して軍国主義への批判だ。
それらが漫画で描かれている。
漫画といっても、文字数が多く説明的なので、イラストの比率が高い程度で捉えた方が良い。
感想
アメリカが何故軍国主義なのか、という部分が興味深いとともに背筋が寒くなる思いをした。
アメリカはイギリスの植民地からスタートして、やがて独立して合衆国になった。
本書によるならば、この「独立」こそが契機である。
そして「独立」が成功したことは神の御心に沿うものであり、
自分たち、つまりは「白人」こそが神に認められた優れた人種であり、他を支配するべき(権利を持つ)と考えた。
支配すべきなのは我々なのだから、侵略・戦争どんとこい。
無知蒙昧な下等人種はひれ伏し給え、というわけである。
いきなり神様とかでてきて面食らうが、要はキリスト教である。
宗教をバックグラウンドに、人種的な優勢思想に結び付き、権利だの義務といった大義名分になった。
宗教史というか世界史に詳しくないので何とも言えないが、イギリスからの独立、というのも神様云々まわりの一因なのかもしれない。
そりゃイエローモンキー言われたり、BlackLivesMatter が起きたりするわけである。
そもそもアメリカという国は白人による白人のための国という成り立ちであり、
そこに見下されるべき下等人種が混じっていたら、そりゃあ差別する。
今がどうなのかは知らないが、構造的な特性としか言いようがない。
このあたりの事情は、思想が先なのか、それによってもたらされる富を得るために思想が作られたのか定かではないけど、
それが利益を生み出した途端に相互に補強しあう関係になったのは想像に難しくない。
戦争でうまく勝てれば、さらには近代では負けない限り戦うだけで軍需産業が富を産み出すと。
戦争がないと立ちいかないって、中世か何かですか。
本書の主張に立ち返ってみると、
アメリカの軍国主義は富の拡大のために染み付いた方法・考え方であると述べている。
そして、戦争によってもたらされる富が偏在して(限られた上流層にしか還流されない)国民のほとんどが幸せにならないこと、
戦争では兵士が死んだり不幸になること、
戦争をふっかけることで世界中に不幸をばらまいていること、などを批判し、やめるべきだと主張している。
それ自体はとても正しいと思うし、共感できる。
しかし、それは国民がみんなやめようと思えばやめることができるものなのだろうか?
アメリカが軍国主義で富を産み出してきたのなら、それを代替するものが必要になるのではないだろうか。
そういった事情は全然詳しくないので、
帝国主義とか拡張主義といったかつての国家がどのような変遷を辿ったのか、興味が出てきた。